日本石灰窒素工業会

国産石灰窒素の稲、小麦、野菜等への上手な使い方をアドバイス致します。

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農薬登録内容|農薬効果

石灰窒素のカルシウムシアナミドは、土壌中でシアナミドに変化し農薬効果を示した後、肥料成分に変わるので、農薬成分は残留しません。
国産石灰窒素は、水田や畑地の一年生雑草、ノビエの休眠覚醒、根こぶ病(ハクサイ、キャベツ)、センチュウ類、スクミリンゴガイの防除に、農薬登録されています。国産石灰窒素の農薬登録内容を紹介します。

表 <適用病害虫の範囲および使用方法>

作物名 適用病害虫
(雑草)名
使用量 使用時期 本剤の
使用回数
使用方法 石灰窒素を含む
農薬の総使用回数
水稲 ユリミミズ 40~60kg/10a は種前又は
植付前
1回 散布後土壌混和 -
ザリガニ
スクミリンゴガイ
20~30kg/10a 植代前 散布荒起こし後3~4cmに湛水し、
3~4日後全面に散布、
3~4日放置後植代を行う。
(漏水を防止すること)
スクミリンゴガイ 刈取後
(水温15℃以上の
時期)
散布後、3~4cmに湛水し、
1~4日後全面に散布、
3~4日放置する。
(漏水を防止すること)
ノビエの休眠覚醒
(湿田及び半湿田)
40~50kg/10a 水稲刈取後
1週間以内
全面散布
水田
一年生雑草
30~70kg/10a は種前又は植付前 散布
水田作物
(水田刈跡)
50~70kg/10a 水田作物刈取後
れんこん スクミリンゴ
ガイ
60~100kg/10a 植付前 散布後土壌混和
(7日間以上放置後植付を行う)
はくさい
キャベツ
根こぶ病 100~200kg/10a は種前
又は植付前
散布後土壌混和
※1
野菜類
センチュウ類 50~100kg/10a は種前又は
植付前
散布後土壌混和
※1
野菜類
一年生雑草 50~70kg/10a 散布
麦類 は種前
カイガラムシ類
胴枯病
温湯10L
当たり
400~800g/10a
7月下旬~
10月上旬
上澄液を株又は
枝条の基部に散布する。
作物名 使用目的 使用量 使用時期 本剤の
使用回数
使用方法
石灰窒素を含む
農薬の総使用回数
薬量 希釈水量
※2
ばれいしょ
茎葉枯凋 10~15kg
/10a
100L/10a 茎葉黄変期 1回 茎葉散布
(上澄液)
-
- 茎葉散布

※1野菜類には豆類(種実)、豆類(未成熟)、いも類が含まれます。
※2「石灰窒素50」粉状品のみ登録

  • スクミリンゴガイ

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  • ノビエの休眠覚醒

    石灰窒素の主成分シアナミドには休眠を覚醒させる効果があり、代表的な使用にノビエの休眠覚醒による防除があります。
    ノビエの種子は稔実したときは休眠しており、自然には冬をすぎなければ発芽しません。稲刈後、できるだけ早く、石灰窒素を10a当たり40~50kgを全面に散布すると、地表に落ちているノビエの種子は休眠が覚醒して発芽、そして冬の寒さで枯死します。
    発芽には18℃以上の気温が15日ぐらいつづき、土壌には発芽できる水分が必要です。秋に発芽しなかった場合は、春先,田植前に一斉に発芽します。このときにすき込めば、ラクに防除できます。

    表 石灰窒素のヒエの防除効果(富山県農試・1967年)

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    (C) 自然条件を対象とした春先の発芽率85.3~97.4%を考慮した防除率

  • 水田 一年生雑草

    粉状または防散石灰窒素10a当たり50~70kgを、耕起前にできるだけ均一に全面散布します。
    除草のためには、石灰窒素の主成分シアナミドを、葉と根から吸収させなければなりません。そのためには、雑草に露のある早朝に散布するようにしてください。
    また、雑草が発芽して間もなく、まだ大きくならないうちに用いるようにしてください。雑草が大きくなったり、露がなくなってから散布すると効果が少なくなります。朝露のある時は風も少なく、石灰窒素を散布するのに好都合です。

    表 除草効果(和歌山普及センター・1991年)

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    調査は12月13日・2ヶ所平均雑草数(本)
    注) 1ヶ所0.25平方メートル(25 X 100cm) 敵上部7cm・下部18cm

  • センチュウ類

    センチュウ類には、10a当たり50~100kgを全面散布または作条に施用(播溝や植溝)し、作土とかき混ぜます。
    センチュウは地中で卵のかたちで越冬します。その間は薬剤に対する抵抗力が強いので、春先15℃以上になり、卵からふ化し、動きが活発になってから施用すると効果的です。
    センチュウ防除には、マリーゴールド(アフリカントール)、ヘイオーツなど、殺センチュウ効果のある対抗緑肥作物を栽培し、これらをすき込むときに石灰窒素を添加すると、腐熟を早め、殺センチュウ効果をいっそう高めます。

  • 一年生雑草

    粉状または防散石灰窒素10a当たり50~70kgを、耕起前にできるだけ均一に全面散布します。
    除草のためには、石灰窒素の主成分シアナミドを、葉と根から吸収させなければなりません。そのためには、雑草に露のある早朝に散布するようにしてください。
    また、雑草が発芽して間もなく、まだ大きくならないうちに用いるようにしてください。
    雑草が大きくなったり、露がなくなってから散布すると効果が少なくなります。
    朝露のある時は風も少なく、石灰窒素を散布するのに好都合です。

    表 除草効果(和歌山普及センター・1991年)

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    調査は12月13日・2ヶ所平均雑草数(本)
    注) 1ヶ所0.25平方メートル(25 X 100cm) 敵上部7cm・下部18cm

  • 茎葉枯凋

    ばれいしょが自然に枯凋するまで待ってから収穫すると、いもが大きくなりすぎ、内部に空洞が生じ、品質が低下してしまいます。また、機械掘取の能率を上げるためにも、よく枯凋していることが必要です。
    ばれいしょの収穫が近づき黄変がはじまると、薬剤を使用し、枯凋を促進させたり、地上部を切断するような作業をおこないます。ある種の除草剤では、いもに維管束褐変が生じやすく、品質が大変低下してしまいます。
    そこで、いろいろな薬剤が試みられた結果、石灰窒素を10a当たり10~15kgの粉をそのまま、または水100Lに溶かして散布すると、穏やかに効果を示し、自然枯凋に近い状況で成熟させることがわかりました。
    石灰窒素を「粉」で10a当り10~15kgを均一に散布することは困難なため、水に溶かして散布する方法がとられています。
     水100Lに石灰窒素10~15kgを徐々に加え、よくかき混ぜ、沈澱物(主成分、水酸化カルシウム)が固まらないようにするとともに、水温が上がらないようにし、上澄液を分離し散布します(下図)。
    石灰窒素を水に加えると、発熱し水温が上がりますが、50℃以上にはしないよう、徐々に加え、30℃ぐらいに保つようにしてください。

    図 石灰窒素の水溶液のつくりかた

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    なお、粉状で使用する場合は、 市販の散布機(背負動力散布機、ブロードキャスターなど)で 粉状石灰窒素そのまま使用します。
    散布作業は
    1)風の弱いときにおこなう。
    2)ばれいしょの茎葉が朝露などで十分濡れているときに散布する。
    3)石灰窒素が飛散し、ほかの作物に付着しないなど、に注意してください。

    *上澄液の調製に使う石灰窒素は、粉状品を使用し、防散品は使用しないでください。