(8)環境問題


Q8−5 農地から流出する地下水の硝酸イオンの石灰窒素の削減効果について教えてください。

A8−5 窒素肥料は土の中でアンモニウムイオンとなり、畑地では比較的短期間に硝酸化成菌の働きで硝酸イオンに変化します。土壌コロイド、硝酸イオンともにマイナスなので、硝酸イオンは土壌コロイドに吸着されず、降雨により農地から流出し、地下水の硝酸汚染の原因となります。これに対し、石灰窒素由来の窒素はシアナミド態から尿素を経てアンモニウムイオンとなります。その過程でジシアンジアミドが生成され、ジシアンジアミドは硝酸化成菌の作用を抑制する働きがあるため、硝酸化成がゆっくり進行し、流出する窒素量が大幅に少なくなります。
黒ボク土壌を用いて石灰窒素配合の有機化成と石灰窒素配合なしの有機化成の硝酸態窒素の溶脱試験を紹介します。窒素施肥量は40kg/10aで石灰窒素配合は12kg/10aが石灰窒素由来の窒素です。石灰窒素配合は流出する硝酸態窒素量が大幅に少なくなっており、施肥効率の向上とともに環境負荷軽減に役立つと判断されます。

図8-5 簡易ライシメーターによる硝酸態窒素の溶脱試験
図8-5 簡易ライシメーターによる硝酸態窒素の溶脱試験
(コープケミカル農材開発研究所,石灰窒素だより142号)