(6)作物別施用法 (工芸作物他)


Q6−9−1 茶園で石灰窒素を施用して窒素施肥量の削減を図っているとのことですが、その効果を教えて下さい。

A6−9−1 茶園での窒素施肥量は多く、主に施肥位置は樹間の通路部分に施用されています。局所的に多量の窒素施肥がなされるため土壌pHの低下により根系の発達が不良となり、肥料の利用率が大幅に低下しています。茶樹は好アンモニア性植物であり、石灰窒素を用いることにより窒素肥料の利用率の向上と同時に土壌のpHの改良効果が期待できます。
(独)野菜茶業研究所では有機配合肥料と石灰窒素を使い窒素施肥量の削減を検討しました。その結果、石灰窒素区は土壌中の無機態窒含量が慣行施肥区とほぼ同等に推移し、生葉収量、全窒素含量についても大きな差はみられません。特に注目して頂きたいのは根重です。石灰窒素区は生きている根が多く、これは土壌pHの改良効果、減肥によるEC値の改善により根系の発達が良好になったものです。
また、農家圃場で行った試験では窒素減肥しても石灰窒素施用により、慣行施肥区に比べ葉中のアミノ酸含量が増加し、生葉収量も同等になっています。
石灰窒素の硝酸イオン生成の抑制効果により、少ない窒素量でもアンモニア態として茶樹に効率よく吸収され、収量、品質の維持向上に結びつくものと思われます。

図6-9-1 窒素施肥量と収量および全窒素含有量の関係
図6-9-1 窒素施肥量と収量および全窒素含有量の関係

図6-9-1 窒素施肥量と収量および全窒素含有量の関係
図6-9-2 試験処理による根重の違い

図6-9-1 窒素施肥量と収量および全窒素含有量の関係
図6-9-3 石灰窒素を使った農家の収量とアミノ酸含有量(○)

(独)野菜茶業試験所 1998年

※図6-9-2は畝間中央の深さ60pまでに存在する根の重さを生死別に量ったものです。施肥量を減らすことによって、根が再生していくことが分かります。
※図6-9-3は石灰窒素をNにして春8kg・秋12kg使用、残りは農家肥料使用。