(6)作物別施用法 (野菜類)


Q6−4−5 野菜の土づくりに「石灰窒素+わら」、「石灰窒素+青刈り作物」等のすき込みが、良いと云われていますが、教えて下さい。

A6−4−5 野菜畑は良質堆肥を多量に必要としますが、確保が難しいため代替として、わらや青刈り作物に石灰窒素を加えてすき込むことが行われています。その効果として次の点があります。
1.わらや青刈り作物の腐熟を促進します。
2.特に青刈り作物を栽培し、すき込むと土壌の生物性が改善され連作障害回避に役立ちます。
3.青刈り作物(緑肥作物)のなかにはギニアグラス(ナツカゼ)、エン麦(ニューオーツ)、マメ科(ネマクリーン、クロタラリア、エビスグサ)、マリーゴールド(アフリカントール)のようにセンチュウ抑制効果のある作物があります。
石灰窒素のセンチュウ防除効果と合わせれば、さらに相乗的な防除効果が期待されます。
4.また、夏場の青刈り作物のすき込みは害虫の発生源になりやすいが、石灰窒素を使用すると腐熟促進により害虫の発生をおさえられます。
5.ニンジン、ダイコンなどの根菜類の栽培では未熟有機物があると岐根の原因となるが、石灰窒素を併用しすき込むと腐熟が速くなり播種までの期間を短縮し岐根の発生を少なくします。
青刈り作物の炭素率は稲わらに比べると低く平均して30〜40です。しかし、ソルゴーのすき込み量が多い場合は、相当量の施用が必要です。愛知県農総試の結果では効果が認められており添加する量も炭素率の矯正を目的とするよりも多くなっています。
図6-4-3 石灰窒素の腐熟促進効果(愛知県農総試)度・播種後約100日)
図6-4-3 石灰窒素の腐熟促進効果(愛知県農総試)度・播種後約100日)

なお、青刈り作物としてよく利用されるマリーゴ-ルドはそれ自身の生産量は少ないのですが4〜5t/10a程すき込むことでキタネグサレセンチュウの分布がほとんどみられなくなります。したがって線虫防除と有機物供給という両面の効果が期待できます。

表6-4-3 マリーゴ-ルドによるキタネグサレセンチュウ密度減少効果とその持続期間
表6-4-3 マリーゴ-ルドによるキタネグサレセンチュウ密度減少効果とその持続期間
注1) 数字は土壌20g当たりのネグサレセンチュウ数 (大林延夫、1979年「野菜の連作障害対策」全国農業改良普及協会)
2) マリーゴ-ルドも品種によって違う。アフリカントールは高く、キューピットオレンジは低い。