(6)作物別施用法 (野菜類)


Q6−−20 ネギに対する石灰窒素の施用法を教えて下さい。

A6−4−20 ネギの栽培期間は6〜8ヶ月と長く、生育適温は15〜20℃前後です。ネギは夏季の高温に弱く、ほとんど生育しないため断根につながる土寄せ、追肥は避けるようにします。土壌管理の面では湿害と酸性に弱いため、十分な排水対策とともに有機物施用による物理性の改善を図ること、石灰資材施用により土壌pHを6.0〜7.0に維持することが必要です。
高品質なネギは葉が鮮緑色で、軟白茎は純白色、肉質は緻密でしまりがよいものとされています。ネギは栽培期間が長くアンモニア態窒素と硝酸態窒素の両方を吸収するとよく生育するため、従来からネギの生産に石灰窒素が使用されております。
石灰窒素を基肥40〜60kg/10a施用により緩効的な肥料効果を示すとともに土壌の酸性を改良し、さらに雑草、センチュウ防除に効果があります。8月下旬以降の追肥では畦間に施用し、その後土寄せを行います。特に収穫前に肥切れすると葉色が淡くなり品質低下に繋がり、石灰窒素の追肥により持続的な肥料効果が発揮され、品質向上に結びつきます。

夏秋ネギの施肥例を示すと以下のようになります。
1. 4月中旬に基肥で粒状石灰窒素50kg/10aを定植5日前までに全層施肥する。
2. 8月下旬に追肥で石灰窒素を20〜25kg/10aを畦間に施用し、葉に土が飛ばない程度に土寄せする。必要に応じてリン酸とカリの追肥を実施する。
排水を良好にするため物理性改善は必須であり、弓浜分場ではネギ定植前に緑肥作物を作付けし、すき込み時に石灰窒素の施用を奨励しております。

鳥取県園芸試験場弓浜分場の夏秋ネギでの試験を紹介します。経時的な乾物重をみると7月下旬〜8月下旬にかけては横ばいとなり、8月下旬から緩やかに増加していくことから夏の高温期に生育が停滞しています。(図6-4-7)

図6-4-7 ネギの乾物重の推移  (2001年 鳥取県園芸試験場 弓浜砂丘分場)
図6-4-7 ネギの乾物重の推移  (2001年 鳥取県園芸試験場 弓浜砂丘分場)
注) 供試品種:吉蔵、264穴チェーンポット育苗

追肥時期が収量におよぼす影響を調査した結果、8月27日に追肥した区は軟腐病の発生が少なく増収したが、盛夏期に追肥した区は過剰な窒素がネギに利用されないばかりか、根が傷み、軟腐病の発生を助長し、減収要因となったと考えられる。(表6-4-15)。

表6-4-15 高温期の窒素がネギの収量におよぼす影響 (2001年 鳥取県園芸試験場 弓浜砂丘分場)
表6-4-15 高温期の窒素がネギの収量におよぼす影響 (2001年 鳥取県園芸試験場 弓浜砂丘分場)
注) 供試品種:‘吉蔵’、264穴チェーンポット育苗、定植日:4月22日、収穫期:10月26日
試験方法:7月下旬から順次追肥時期を変えて燐硝安加里1号S552を窒素施用量で4.5kg/10a施肥した。

(石灰窒素だより138号)

秋冬ネギの施肥例を(表6-4-16)に示しました。最後の追肥は石灰窒素に置き換えられている例が多いようです。
表6-4-16 秋冬ネギの施肥例(深谷、kg/10a)
表6-4-16 秋冬ネギの施肥例(深谷、kg/10a)