(6)作物別施用法 (豆類)


Q6−3−3 石灰窒素を用いた大豆の深層施肥が注目されておりますが、どのような効果がありますか?

A6−3−3 大豆は開花始期からの約40日間に窒素の全吸収量の70%を吸収することから、多収生産のためには開花期以降の窒素吸収を高く維持することが大切です。
開花始期以降の窒素利用率を高めるため、播種直下10cm〜20cmの位置に石灰窒素(N:10kg/10a)を施用する深層施肥が明らかにされ、対照区に比べ収量、品質ともに深層施肥で優っています。この理由として以下の利点が上げることができます。
1. 耕盤が地表下20cm付近にあり、施肥した肥料が下方に移動しにくい。
2. 深い施肥位置ほど、石灰窒素から尿素、アンモニアへの変化が遅く、硝酸化成を受けにくい。
3. 深く施肥するほど、地上部近くに多く着生する根粒の生長や活性を阻害しにくい。
4. 深い位置に施肥することにより、深部の根の発達を促し、土壌由来窒素も多く吸収する。
現在では、耕うん同時畝立て+深層施肥機により石灰窒素を播種直下の深層にスジ状に施肥する小畝立て施肥が行われており、畝の上部に播種することにより湿害を回避できる利点があります。
岩手県では播種直下15cmの位置で石灰窒素30kg/10aの深層施肥試験を実施しています。3年間の結果をみると深層施肥区は慣行区に比べ黄化葉が少なくなるなど後半の窒素栄養が改善され、品質、収量が優る結果になっております。

図6-3-2 石灰窒素の施肥施肥深度が大豆子実収量・品質に及ぼす影響(新潟大学・石灰窒素だより147号)
図6-3-2 石灰窒素の施肥施肥深度が大豆子実収量・品質に及ぼす影響(新潟大学・石灰窒素だより147号)
図6-3-3 全刈り収量(平成21〜23年平均)
図6-3-3 全刈り収量(平成21〜23年平均)
図6-3-3 全刈り収量(平成21〜23年平均)
図6-3-4 しわ粒率
(平成21〜23年)
(岩手県農研センター・石灰窒素だより147号)    (岩手県農研センター・石灰窒素だより147号)