(6)作物別施用法 (豆類)


Q6−3−1 石灰窒素は大豆の肥料として、どのような効果がありますか?

A6−3−1 大豆はマメ科作物であり、根粒菌の働きにより窒素が固定されるため、窒素肥料は不用と思われがちです。実際には大豆の多収生産を図るには根粒菌の働きと同様に窒素施肥も重要であり、300kg/10aの収量を得るためには約24kgの窒素を吸収させる必要があります。
大豆が吸収する窒素は1.施肥窒素、2.地力窒素、3.根粒菌による固定窒素があり、石灰窒素はこれらの窒素と大きな係りがあります。
(1) 土の中に硝酸態窒素が一定量以上あると根粒菌の活性が低下するため基肥窒素量は2〜3kg/10aと少なくなっています。これに対し、石灰窒素中の窒素はアンモニア態窒素として長く存在するため、根粒菌の活性には影響を与えず、石灰窒素により基肥窒素量を増加させると、大豆の中期〜後期の窒素栄養が改善されます。
(2) 大豆を連作すると徐々に収量が低下し、この原因として地力窒素の消耗が上げられており、安定生産のためには堆厩肥施用、緑肥作物のすき込み等の土づくりが重要になってきます。石灰窒素は有機態窒素の無機化を促進する働きがあり、堆厩肥等との併用によって、大豆により多くの窒素を供給できるようになります。
(3) 根粒菌は弱酸性〜中性が好適な条件であり、石灰窒素施用により土壌の酸性が改良され、根粒菌の活性が高まります。
石灰窒素の基肥施用量は20〜30kg/10aですが、シストセンチュウ防除など農薬効果を目的とするときは50〜60kg/10a施用する必要があります。

表6 - 3 - 1  大豆に対する基肥全層施肥 (56.10.15)
表6 - 3 - 1 大豆に対する基肥全層施肥 (56.10.15)
注)百粒重・子実重は水分15%表示
(東北農試・石灰窒素だより116号)