(6)作物別施用法 (麦類)


Q6−2−4 小麦の追肥に対して石灰窒素はどのような効果がありますか?

A6−2−4 現在、小麦の施肥は温暖化等の影響により子実の低タンパク化が指摘され、追肥体系を取り入れている産地が多くなっています。茎立ち期の追肥は穂数・一穂粒数の増加、穂揃い期の追肥は千粒重・タンパク含量の増加に結び付きますが、実際には穂揃い期の追肥は作業性の面から困難な状況です。そこで、石灰窒素の遅効き効果を狙って埼玉県では茎立ち期の石灰窒素の追肥(N2kg/10a)を検討しております。
埼玉県内における3圃場での硫安追肥との比較では、石灰窒素追肥は収量増、タンパク含量、容積重で優ることから、出穂期以降の窒素栄養の改善につながったと判断されます。
留意点として、石灰窒素から加水分解されて生成されるシアナミドにより小麦の下葉に葉焼けが発生する場合があります。このため、窒素追肥量は2kg/10a程度とし、多雨時や湿田など水がたまりやすい圃場では生育遅れや生育不良などの場合は使用を控えることが必要です。

図6-2-2 追肥の種類と小麦の収量及び千粒重
図6-2-2 追肥の種類と小麦の収量及び千粒重

図6-2-3 追肥の種類と小麦の蛋白含有及び灰分
図6-2-3 追肥の種類と小麦の蛋白含有及び灰分

図6-2-4 追肥の種類と小麦の容積量および
図6-2-4 追肥の種類と小麦の容積量およびフォーリングナンバー

※フォーリングナンバー
 小麦粉の粘性を表す指標。
 300以下を低アミロ小麦と呼び
 加工適正に劣る。

(埼玉農総研・石灰窒素だより145号)