(6)作物別施用法 (水稲)


Q6−1−4 水稲の直播栽培にも石灰窒素は使えますか?

A6−1−4 乾田直播と湛水直播の両方に石灰窒素は効果を発揮します。
乾田直播栽培は、播種〜発芽〜生育初期まで畑地状態で経過します。この期間、基肥に使用した窒素肥料は硝酸態になり、湛水後、脱窒、流亡するため利用率が悪くなります。
このため移植栽培にくらべて施肥量を20〜40%程度多くしたり、流亡の少ない緩効性の肥料や硝酸化成を抑制する肥料が使用されます。この対応に石灰窒素が適しています。
また、この栽培をつづけると土壌は酸化状態が長くつづくため、土中の有機物の消耗が多くなります。湛水直播栽培は播種時から湛水されているため、土壌の還元化が進みやすく未熟な有機物が施用されていると還元はいっそう強まり根の活力が低下して中・後期の生育を不良にします。したがって、有機物は完熟物が適していますが、あらかじめ石灰窒素を施用して未熟な有機物の腐熟促進をしておくことも大事な対策になります。
最近、西日本の直播栽培では、スクミリンゴカイ(ジャンボタニシ)による被害が各地で発生しています。この駆除に石灰窒素の使用が最も実用性が高いことがわかってきました。
使用法などはQ3−8に説明されていますのでご覧下さい。

表6-1-2 直播栽培に対する効果(岡山県農試・1964年)

区      名

わら重
(kg/a)

精籾量
(kg/a)

玄米量
(kg/a)

同左比

不耕起

石灰窒素区
化  成  区

68.0
56.6

60.2
50.3

48.6
40.2

100
83

耕起

石灰窒素区
化  成  区

68.2
58.1

57.4
49.8

46.7
40.8

96
84

注) 肥料施用量 a当たり 窒素(基+穂) 0.81+0.13 リン酸 0.7 カリ 0.8
品種 : きびよし 6月8日播種、11月11日収穫