(5)有機物分解促進効果


Q5−9 稲わらすき込みが作業などの都合により春になることがありますが、石灰窒素秋施用の効果を教えて下さい。

A5−9 土づくりに稲わらの秋すき込みを奨励しておりますが、積雪地帯では秋に稲わらすき込みを行うと翌春の作業性が悪くなることから、稲わら秋散布・春耕起が行われています。この条件では稲わらの春すき込みから水稲移植までの期間が短いため、移植前に稲わらの腐熟促進を図り、移植後の還元障害を軽減させることが必要です。
山形農総研では稲わら秋散布(600kg/10a)・春耕起における石灰窒素秋施用(20kg/10a)の腐熟効果について検討しております。石灰窒素施用により、稲わらの分解が促進され、同時に稲わらの炭素率(炭素/窒素)は無施用の64に対し石灰窒素施用では42と低く、より腐熟が進むものと考えられます。水稲の生育収量では、石灰窒素施用は無施用に比べ優るものの、草丈、茎数ともに増加することから、基肥窒素の減肥等の対策が必要と考えられます。

表5 - 1 0 水稲の収量・品質(2011年)
表5-8 稲わら施用時期別の精玄米重および施用稲わらの腐熟度(青森県農試)
(山形農総研・石灰窒素だより148号)