(4)太陽熱・石灰窒素法


Q4−3 ハウス栽培で「太陽熱・石灰窒素法」を実施したいのですが、夏季の作業は簡便化できませんか?

A4−3 この方法で確実な効果を上げるには、地温をできるだけ高めなければなりません。そのため夏の高温時に作業することになります。したがって早朝に作業しても巌しいといわれ、資材や作業を省略するかたも少なくないようです。しかし、資材や作業(有機物、石灰窒素、すき込み、畦立、マルチ、一時湛水、施設密閉)を省略すると地温の上がりかたが少なく期待した効果が上がらない場合があります。この方法は地温を1℃でも高くする必要があります。わずか1℃といっても上がりかたが少ないと病害によっては効果がない場合があり、また効果のおよぶ範囲がせまくなります。初めて作業をするかたは基本どおり実施して下さい。経験を積んでから自分の施設内の土壌の状況、施設のつくり、作物と対象とする病害などを考えて自分に合った方法を生み出すのもよいでしょう。
地温の上がりかたと駆除できる病害、および作業や資材を省略したときの地温の上がりかたの違いについてはQ4-1をご覧下さい。また、施設内土壌の有機物の消耗を考えると有機物を使用しないで実施することは好ましいとは云えません。

稲わら以外の易分解性の有機物を併用した場合でも、石灰窒素が腐熟を促進し土壌が還元状態になりやすく、防除効果が高まります。また、太陽熱・石灰窒素法は土壌の理化学性も改善でき総合的な土づくりの効果が期待できます。

【静岡県の事例】 ハウスコマツナ周年栽培
コマツナの周年栽培に取り組んでいる生産者(エコファーマー)は、梅雨明けから8月まで太陽熱消毒による土作りに取り組んでいます。
ハウスに米ぬか455kg/10a・石灰窒素76kg/10aを施用し30cm位まで深耕した後、30分から1時間程度潅水し10日間位密閉します。マルチを敷かない簡易的な方法ですが、この方法でも十分に効果が得られており16年間土壌病害虫が発生していなく石灰窒素は経営に役立っていると称賛しています。