(3)農薬効果


Q3−9 石灰窒素は土壌中の有害な微生物と一緒に他の微生物も殺してしまう心配はありませんか?

A3−9 石灰窒素の殺菌力はクロールピクリン剤などに比較すると弱く、土壌や稲わらに生存増殖している菌を完全に殺菌することは困難です。石灰窒素を施用すると微生物は一時的に減りますが、その後、増殖が盛んになり施用前より増加しますので心配はありません(図3-6)。
石灰窒素施用後の微生物の数の推移も調べられていますが、土壌から発生する炭酸ガスの量を調べることで間接的ですがよく判ります(表3-7)。炭酸ガスの発生量が多いほど微生物活動が盛んであることを示します。この現象は部分的殺菌効果*とみられます。
* 部分的殺菌効果 : 土壌を熱や殺菌剤で処理すると土壌微生物が死滅し生物活動は一時停止しますが、その後急速に増殖します。それとともにアンモニア化成は殺菌前より盛んになりますが、硝酸化成は進まないので土壌中のアンモニア含有量が増加します。

表3-7 緑肥の分解におよぼす石灰窒素の影響(炭酸ガスの発生量)
表3-7 緑肥の分解におよぼす石灰窒素の影響(炭酸ガスの発生量)
(東京農工大・1934年)

図3-6 石灰窒素の土壌微生物にあたえる影響(pH6.5土壌使用時)
図3-6 石灰窒素の土壌微生物にあたえる影響(pH6.5土壌使用時)
(Soil Science vol.43-2,1937 C.M.HAENSELER AND T.R.MOYER)