(3)農薬効果


Q3−6 ハクサイ、キャベツの根こぶ病防除にはどのように使ったらよいのでしょうか?

A3−6 根こぶ病を引き起こす病原菌は糸状菌でアブラナ科野菜のみに感染します。根こぶ病菌は休眠胞子の形で土の中でじっとしており、アブラナ科野菜の根が近づくと発芽して遊走子となり感染します。根に大きな瘤が形成されるため、養水分の吸収ができなくなり著しい生育不良となります。
石灰窒素の主成分はカルシウムシアナミドで、加水分解してシアナミドとなり、このシアナミドが殺菌効果として根こぶ病菌の休眠胞子及び遊走子に作用しますが、特に発芽した遊走子への作用が大きいと思われます。使用方法は播種又は植え付け2〜3週間前に100〜200kg/10aを散布後土壌混和します。
発病度が20〜25程度のハクサイの軽度発生圃場では石灰窒素100kg/10a施用により発病度が5以下に低下し、他の防除薬剤と同等の効果を示しています。しかし、発病度が90以上のキャベツの多発生圃場では、石灰窒素及び他の薬剤の各々の単独施用では効果が少ないため、薬剤と石灰窒素を併用することで発病度が低下し、収量も大幅な増加がみられています。
以上のような試験結果から、根こぶ病菌の休眠胞子数が103〜104/g以下の軽度発生圃場では石灰窒素単独で発病度を低くさせることができますが、中〜多の発生圃場では他の防除薬剤(ネピジン、フロンサイド粉剤等)との組み合わせによる石灰窒素・農薬法、さらに激発圃場では太陽熱・石灰窒素法を行って下さい。
根こぶ病は一度発生すると根絶することが難しく、輪作、抵抗性品種の導入、播種時期の移動、ペーパーポットの利用等の耕種的対策を同時に取り入れ発生密度の軽減を図っていくことが重要です。

図3-2 石灰窒素の根こぶ病に対する防除効果
図3-2 石灰窒素の根こぶ病に対する防除効果